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【裁判】電光掲示板用ソフトの使用期限を巡る事件

著作権判例

【裁判】電光掲示板用ソフトの使用期限を巡る事件

<2010年9月3日>
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大阪地裁 平成19年(ワ)第15556号
判決:平成22年3月11日




原告:ソフトウェアの開発販売会社(コンピュータ応用機器、自動計測機器など)


被告:ソフトウェア販売会社(コンテンツ受信ソフト)




【事件内容】


原告会社が開発した電光掲示板用ソフトウェアを被告会社が無断複製・使用をしているとして、その使用中止及び無断使用に基づく損害賠償などを求めて裁判になった事件。


【短文情報配信事業】


インターネット等を利用し、時事通信社からのニュース情報等を、配信サーバから通信網を介して、市中に設置されたLED 等電光表示器にデータを転送して表示器にニュース等の情報を表示させるサービス


【経緯】



時年月 内容
原告会社が株式会社ビーアクロスの依頼を受け、短文情報配信サービス用システム及び電光掲示板用ソフトウェアを開発、原告会社と株式会社ビーアクロスはこのソフトウェアのライセンス契約を締結
平成14年10月以降 株式会社ビーアクロスは原告会社開発の電光掲示板用ソフトウェアを利用して短文情報配信事業を行う
平成17年3月頃 株式会社ビーアクロスが採算等の関係から、短文情報配信事業を撤退する方針を打ち出す。その後、短文情報配信事業を引き継ぐ新会社を設立すること及びその責任者に株式会社ビーアクロスの取締役(P1)がなることを計画
平成17年4月25日 新会社は設立しないことになり、被告会社が短文情報配信事業を行うことになる
平成17年5月6日 P1は原告本社を訪れ、原告会社開発の電光掲示板用ソフトウェアの使用許諾等に関する合意メモを取り交わす
平成17年6月頃 被告会社は、短文情報配信事業を開始するにあたり、サーバ等の機材を購入し、原告会社はこのサーバに原告会社開発の電光掲示板用ソフトウェアをインストールした
平成17年6月頃 被告会社が短文情報配信事業を開始
平成17年6月17日 P1が被告会社取締役に就任
平成17年8月22日 株式会社ピーアクロスの親会社よりP1が被告会社が行う短文情報配信事業に関与することは、競業避止義務違反であるとして事業から撤退するよう求められた結果、P1が被告会社を退社
平成17年9月20日 会合が行われ、原告会社の部長が被告代表取締役に対し、P1の関与がない限り短文情報配信事業に本件ソフトウェアを使用することはできないので、P1との関係を修復するよう依頼し、P1が事業に関与することができない以上は、本件ソフトウェアの使用を中止し、サーバから削除することを申し入れ、被告代表取締役はこれを了解する
平成17年11月 会合によっても、結局P1は事業に復帰できないでいたため、これまでの経緯を鑑みて原告会社は、自ら短文情報配信事業を実施せざるを得ないと考え、事業を始める(被告会社は事業を継続している)




被告会社が原告会社開発の電光掲示板用ソフトウェアを使用していた期間を桃色の背景色にしております。



【平成17年5月6日に交わされた原告会社とP1との合意メモ内容】

1.新会社を設立するにあたり、P1個人が原告会社から入力サーバソフト(本件ソフトウェア)を借用する。

2.上記ソフトの使用料は、当初、無償とするが、新会社の収益状況を勘案し、将来は有償とする。有償化については、原告会社とP1が協議し、時期及び価格を決定する。

3.P1は、個人的に借用した上記ソフトを、新会社が運用するサーバシステムにセットし、使用する。

4.新会社に不測の事態が発生したとき及びP1が新会社の事業を離れるときは、上記ソフトの運用を速やかに停止し、セットしたサーバから削除する。




【主な争点】

  • 1. 原告会社開発の電光掲示板用ソフトウェアの権利の帰属。
  • 2. 被告会社による原告会社開発の電光掲示板用ソフトウェアの複製。
  • 3. 原告会社開発の電光掲示板用ソフトウェアの使用中止合意について。




【判決】


1.原告会社開発の電光掲示板用ソフトウェアの権利の帰属



ソフトウェアの開発を依頼したからといって、当然に、ソフトウェアに係るプログラム著作権を譲渡するまでの合意をしたとはいえず、むしろ原告会社は、開発依頼主の株式会社ピーアクロスに対し、本件ソフトウェアの使用許諾をしているが、この事実は、原告会社が、本件ソフトウェアに係るプログラム著作権を保有していることを前提とするものである。


よって、現在も、原告会社が本件ソフトウェアに関するプログラム著作権を有していると認められる。




2.被告会社による原告会社開発の電光掲示板用ソフトウェアの複製。



実際にソフトウェアをインストールしたのは原告会社であり、このインストールを原告会社の本件ソフトウェアに係るプログラム著作権を侵害する複製行為ということはできない。


したがって、被告会社が、その後、本件ソフトウェアの使用を継続しているものの被告会社の本件ソフトウェアの使用の継続のみをもって、本件ソフトウェアに関するプログラム著作権を侵害しているということはできない。




よって、原告会社は、本件ソフトウェアの著作権侵害を理由として、本件ソフトウェアの使用の差止、削除を求めることはできず、損害賠償についても同様である。


尚、原告会社は、本件ソフトウェアの所有者であるから、所有権に基づいて、本件ソフトウェアの使用差止等を請求することができるとも主張するが、本件ソフトウェアは有体物ではなく、所有権の対象となるものではなく、主張自体失当である。




3. 原告会社開発の電光掲示板用ソフトウェアの使用中止合意について



原告会社は、P1に対し、本件ソフトウェアの使用を許諾したことが認められるが、当時、設立が予定されていた新会社に対し、直接の使用許諾をしたと認めるに足る証拠はない。


原告会社は、P1に対し、本件ソフトウェアの使用を許諾するにあたり、P1が新会社の事業から離れたときは、本件ソフトウェアを削除することを前提として使用許諾し、P1は、同事業から離れるときには、本件ソフトウェアの使用を中止し、サーバから削除することを合意したことが認められる。


平成17年9月20日に開かれた会合においてP1が本件事業から退いた場合には、本件ソフトウェアの使用を中止することになる旨説明し、被告代表取締役においてこれを了承した。


したがって、被告会社は、上記会合において、P1が復帰することがないことが確定的となることを期限として、これらの義務を履行する旨約したと認めるのが相当である


P1は、平成17年8月22日、本件短文情報配信事業を引き継いだ被告会社の取締役を退任し、同月末日までに被告会社を退社し、その後、会合を開いた後、復帰に向けての動きはなく、現在に至るも、本件事業に復帰することはなかった。
以上によると、P1は、遅くとも平成17年9月末日までには、本件事業から確定的に退いたというべきである。



よって、被告会社は、原告会社に対し、平成17年9月末日の時点で、本件ソフトウェアの使用を中止し、サーバから削除する義務を負っているというべきであり、被告会社が、その後も本件ソフトウェアの使用を継続していることは、上記合意の債務の履行を遅滞しているというべきである。



【結論】


被告は、原告開発の電光掲示板用ソフトウェアの使用の差止とコンピュータの記憶装置からの削除、損害賠償238万2900円及びこれ対する平成21年5月23日から支払済みまで年6%の割合による金員を支払え。





【考察】

電光掲示板用ソフトの使用期限を巡る事件の考察





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