【裁判】絵画の縮小カラーコピーは著作権違反かの考察
絵画の縮小カラーコピーを当該絵画の鑑定証書に貼付することが著作権を侵害するかどうかが争われた本件。
私は、この事件のなかで以下の点に着目します。
・絵画等の著作物を縮小カラーコピーすることが著作権侵害にあたるのか。
・引用について。
・絵画等の著作物を縮小カラーコピーすることが著作権侵害にあたるのか。
本件は、鑑定対象絵画の鑑定証書に当該絵画の縮小カラーコピーを貼付した行為が著作権侵害(複製権の侵害)にあたるのかどうかが争点の一つになりました。
鑑定証書に貼付された縮小カラーコピーのサイズは、「縦16.2㎝×横11.9㎝」程度となり、絵画のサイズよりもだいぶ小さなものになります。但し、このような縮小カラーコピーであっても「絵画と同一性の確認ができるものであり、絵画の内容及び形式を覚知させるに足りるものである」と認定されました。
よって、コピー元著作物よりもサイズをだいぶ小さくしてコピーしたとしても、著作物との同一性が確認できる程度のサイズであれば、著作権法上の複製に該当するということになります。
同一性が確認できないサイズというと、何をコピーしたのかが分からない程にサイズを小さくした場合ぐらいでしょうから、著作物をコピーすることはサイズを小さくしようが、基本的にほとんど著作権法上の複製に該当してしまうと考えらることになります。
・引用について。
絵画の縮小カラーコピーは著作権法上の複製に該当すると認定されましたが、引用にあたるかどうかが本件は最終的な争点となりました。
本件裁判は引用の成否について参考になる裁判の一つになったかと思います。
結論からすると、本件は引用が認められました。その要因は以下の2点だと考えます。
・鑑定書に、鑑定対象絵画の縮小カラーコピーを貼付することは、その鑑定対象である絵画を特定し、かつ、当該鑑定証書の偽造を防ぐために必要かつ有用なものである。
・コピー部分のみが分離して利用に供されることがないような貼付であり、鑑定証書は絵画と所在を共にすることが想定されるため、絵画と別に流通することも考え難い。
本件は、引用する必然性が認められ、また引用部分が独立して分離して利用されるようなこともないような態様であることから、社会通念上合理的な範囲であるとして引用が認められました。
やはり、著作物の引用を行う上で「必然性」というのは非常に重要な要素であると再確認した次第となります。
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2011年5月30日、2011年5月31日
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・日経コンピュータ2011年4月28日号
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