イラスト制作契約
【記事執筆】
2024年9月27日に、All Aboutにて「自治体や学校で「イラストの無断使用」による損害賠償が増えている理由」について記事を執筆させて頂きました。
このページは、キャラクター、建物、風景や人物等のイラストの制作を、外部の制作会社やクリエイター等に依頼する際の契約書に関するページとなります。
近年は、ソーシャルゲームのカードやキャラクターのイラスト、またLINEスタンプ用のイラストの制作といったものも増えており、イラストの制作という需要は増えているように見受けられます。しかしながら、契約書を特に取り交わさずにイラスト制作を行った結果、イラストに関する権利のことや二次使用、報酬のこと等で揉めたりしているケースも見受けられます。したがって、契約書又は最低でも注文書といった書面で、イラスト制作に関する事項を合意しておくことが望ましいと考えます。
尚、イラストの制作を外部の制作会社やクリエイター等に依頼して、そして制作されたイラストの著作権は、契約書等の書面で著作権の帰属に関する合意がない場合は、そのイラストを制作した外部の制作会社やクリエイター等に権利が残ったままとなりますので、そういったことを踏まえるとやはり契約書を取り交わすことが望ましいです。
【契約当事者】
イラストの制作を依頼する者(甲)と、受任してイラストを制作する制作会社やクリエイター等(乙)との間で契約を締結します。尚、ある特定のクリエイターにイラストの制作を依頼する場合であっても、そのクリエイターが法人に所属している場合は、通常はその法人と契約を締結する形になります。
イラスト制作依頼契約書の内容(ポイント等)を以下に記載します。
【趣旨】
- 依頼者は、イラストの制作を制作会社・クリエイター等に依頼し、制作会社・クリエイター等はそれを受任して、所定のイラストを制作してその成果物を納品する。
- 依頼者は、成果物の納品を受けた後、その内容を確認して問題がなければ、報酬を制作会社・クリエイター等に支払う。成果物の内容に問題がある場合は、その問題について協議をした上で、必要に応じて制作会社・クリエイター等は問題の修正対応等にあたる。
- 契約の形態は請負契約になります。また、イラスト制作依頼でも、イラスト制作業務委託のどちらでも意味合いは同じですので、契約書のタイトルをどちらにしても問題はありません。
【イラスト制作に関する事項】
- どのようなイラストの制作を依頼するのかを定めます。また、制作して納品するイラストの点数及びフォーマット等も定めます。
- イラストの納品期日を定めます。尚、最終納品期日を定めた上で、完成したイラストから随時納品をするというやり方や、中間納品期日を設定するというやり方も見受けられます。
- 制作会社・クリエイター等に支払う報酬の金額及び支払日を定めます。また、追加で費用が発生するケースというものも予め想定できる範囲で定めておくことが望ましいです(追加制作が発生した場合はもちろんのこと、納品後の修正対応について費用が発生するのか等)。
- 納品物に瑕疵があった場合の瑕疵担保責任についても定めておきます。
【成果物に関する事項】
- 制作会社・クリエイター等が制作して納品したイラストの著作権の帰属を定めます。
- イラストの著作権が制作会社・クリエイター等に帰属する場合は、依頼者がそのイラストを使用できる範囲や条件等を定めます。
- イラストの二次使用や改変等について、その条件等を定めます。
【重要なポイントのまとめ】
1.イラストレーター側が制作する成果物の内容はできるだけ明確にすることが望ましい。例えばVTuberキャラクターのイラストを制作するという場合、正面図、側面図、背面図、表情別等どこまでのイラストを納品すれば良いのか、またそれぞれ何点のイラストを納品すれば良いのか、明確にすることが望ましい。イラスト制作契約書は、成果物の内容を明確にすることが最も重要な点と言えます。
2.成果物の納品期日を定めた上で、もし納品が遅延した場合のペナルティ内容等も可能な範囲で定めることが望ましいと言えます。
3.イラスト制作依頼契約書で争点になりやすいのが著作権等の権利の帰属です。著名なイラストレーターですと著作物等の権利譲渡に別途費用が発生する場合もありますので、事前に権利譲渡の有無や権利を譲渡する場合としない場合との費用の差異等を確認して契約書に反映することが望ましいです。
4.著作者表示(©)をどのようにするのかを明記することも望ましいです。
5.イラストレーター側で制作実績等の自己のプロモーション用に制作したイラストを使用したいという場合に、それを認めるか否か等も契約書に明記すべき事項です。
上記が、イラスト制作依頼契約書に関するポイントとなります。
【イラスト制作依頼契約書の当事務所対応実績例の一部】
- 世界遺産のイラスト化
- 漫画キャラクターのイラスト制作
- ソーシャルゲーム用キャラクターのイラスト制作
- LINEスタンプ用のオリジナルキャラクターのイラスト制作
- LINEスタンプ用の有名人のイラスト制作
- 教育雑誌用のイラスト制作
- 温泉キャラクターのイラスト制作
- カードゲーム用のカードイラスト制作
- フィギュア等の原型制作
- イラスト制作に関する業務委託基本契約書及び個別契約書
- 企業の販促キャンペーンに使用する4コマ漫画の制作依頼頼契約書(プロモーション会社とイラストレーターとの契約書)
- LINEスタンプやkindle出版本の挿絵用としてのイラスト制作依頼契約書
- 医療系書籍の表紙や挿絵用としてのイラスト制作依頼契約書
- 企業のIPとしてのオリジナルキャラクターに関するイラスト制作依頼契約書
- スマートフォンアプリケーション内で使用するロゴ・イラストの制作依頼契約書
- ソーシャルゲーム用カードやキャラクター等のグラフィックデザイン業務委託契約書(イラスト・デザイン全般)
- イラストレーター登録サイトを通じてイラストレーターに チラシやロゴなどのデザイン、イラスト、漫画制作等を依頼する際の業務委託契約書
- 宣伝用のデモカーに施すペイントデザイン及び実際のペイント作業の業務委託契約書
- 自社ブランドの壁紙デザインの制作依頼契約書
- 缶製品の企画提案及びデザイン制作業務委託契約書
- 一定期間且つ一定時間の間デザインに関する業務を依頼する契約書(準委任型)
- スマートフォンアプリケーションのUI及びアイコン並びにその他販促物のデザイン制作業務委託契約書
- ネットクレーンゲームシステムのウェブデザイン業務委託契約書
- 箸及び箸置きのデザイン依頼契約書
- 海外のフリーランスデザイナーとの業務委託契約書
- 成果報酬型のクリスマスギフトデザイン制作業務委託契約書(デザインを使用した商品の売上の一定パーセントを支払う)
- VTuber用キャラクターイラストの制作
・・・etc
当事務所のイラスト・ロゴ・デザイン系契約書等の対応事例一覧はこちら
イラスト・ロゴ・デザイン系の契約書等の対応事例
依頼者:株式会社○○○○(以下「甲」といいます)と受任者:○○○○(以下「乙」といいます)は、甲が乙に対しイラスト制作を依頼することに関して、以下のとおり契約(以下「本契約」といいます)を締結します。 第1条(依頼内容) 1) 甲は乙に対し、世界遺産のイラストの制作(以下「本イラスト制作」といいます)を依頼し、乙はこれを受任して遂行します。尚、イラスト化する対象の世界遺産は、別紙に定めるとおりとします。 2) 乙は、本イラスト制作を行い、その成果物として、別紙に定める世界遺産一つにつき2点のイラスト画像(これらのイラスト画像全てを以下「本成果物」といいます)を甲に納品するものとします。尚、イラスト画像の仕様及び画像フォーマット等については、別途甲乙間で協議の上で定めます。 3) 乙は、本成果物を○○○○年○○月○○日までに甲に対しメールで送付する方法で納品するものとします。 第2条(報酬) 1) 甲が乙に対し支払う本イラスト制作に対する報酬(以下「本報酬」といいます)は、金○○○○円(税別)とします。尚、この本報酬には、本成果物の乙から甲への著作権譲渡に関する対価が含まれているものとします。 2)甲は乙に対し、本成果物の納品完了日の翌月末日までに、本報酬を支払うものとします。 3)本契約に基づく甲の乙に対する支払いは、乙が指定する銀行口座に振り込む方法によるものとし、支払日が銀行休業日である場合は、前営業日までに支払うものとします。尚、支払いに係る振込手数料は、甲の負担とします。 4) 甲は、本契約に基づき本報酬を乙に対し支払うにあたり、支払額から所得税法の定めに従い源泉徴収すべき所得税及び復興特別所得税等を源泉徴収します。 第3条(資料等の提供) 1)甲は乙に対し、本イラスト制作のために必要な参考画像及び設定資料等を参考資料として提供します。 2)乙は、前項の参考資料の他、本イラスト制作の実施に必要な甲が保有する資料及び情報等(以下「甲保有資料等」といいます)の開示又は提供を甲に対し求めることができるものとし、甲はこれを必要と認めた場合に限り、甲保有資料等を乙に対し開示又は提供する場合があります。 3)乙は、開示又は提供された参考資料及び甲保有資料等を善良な管理者の注意義務をもって使用及び管理するものとし、甲の事前承諾なく本イラスト制作以外の目的に使用し、又は第三者に譲渡、開示等してはなりません。 4)乙は、理由の如何を問わず、甲が返還又は破棄を要求した場合、参考資料及び甲保有資料等を甲の指示に従い返還し、又は再生不可能な方法で破棄するものとします。 第4条(成果物の納品及び確認) 1) 以下、続く・・・・ |
【収入印紙】
イラスト制作依頼契約書は、制作会社・クリエイター等がイラストの制作を請け負うという性質の契約書であるため、収入印紙の必要な「請負に関する契約書」(印紙税法上の2号文書)に該当することになります。
この場合、契約書に明記される報酬の金額をもとに、収入印紙金額を算出します。
尚、収入印紙を貼っていなくても契約の成立には何ら影響を与えませんが、税務調査等によりそのことが知られた場合には、印紙税法違反となり、本来払うべき印紙税額の3倍を支払うことになります。
【イラスト制作依頼契約書の作成代行】
料金 | 納期目安 | 成果物 | |
契約書の作成 | 50,000円(税別) | 3営業日 | 契約書データ |
※納品させて頂く契約書データはお客様が編集可能なWordファイルとなります
【イラスト制作依頼契約書のチェック・修正】
料金 | 納期目安 | 成果物 | |
契約書等チェック 修正対応 |
1ページにつきおよそ5,000円(税別) | 2営業日程度 |
リーガルチェック対応後の契約書データ |
※納品させて頂く契約書データはお客様が編集可能なWordファイルとなります
【イラスト制作依頼契約書の雛形提供】
料金 | 納期目安 | |
契約書等雛型提供 | 8,000円(税別). | 翌営業日 |
※雛形提供をご希望の方は、お問い合わせフォームを通じて、お問い合わせ内容にご希望の契約書雛形名をご記載の上で当事務所までご連絡願います。
※カスタマイズをご要望される場合は、作業分量に応じて別途費用が掛かります。
※お客様より特にご指定がない場合はWordファイルで提供致します。
(PDF、テキスト、書面等による提供はご要望に応じて対応致します)
<補足>
イラスト制作依頼契約書の事案や難易度により料金が増減したり納期にお時間を頂く場合がございます。
そのため、ご依頼頂く前に、お客様からヒヤリング等を行った上で御見積書をご提示致します。
イラスト制作依頼契約書ご依頼の流れ(遷移先ページ下部)
キャラクター名等の商標登録もお考えの場合はこちら
イラスト制作依頼契約について、ご相談等がございましたら、お気軽にお問い合わせ頂ければと思います。
藤枝知財法務事務所
代表:藤枝秀幸(弁理士・行政書士)
2009年に当事務所を設立し、著作権等の知的財産権の専門家として、主にIT系、エンタメ・芸能・コンテンツ系のクライアント様やクリエイター様等から多数の契約書作成・リーガルチェック業務のご依頼を頂いております。
また、補助金を活用した特許・商標・意匠登録対応も得意としており、契約×知財×補助金の広い視点でお客様をサポートさせて頂いております(2024年時点で事務所設立15年)。
【全国対応】
・契約書業務(契約書の作成代行、チェック修正、雛形提供)
・知的財産権登録(商標登録、特許登録、意匠登録)
・著作権業務(著作権登録、存在事実証明作成、各種相談)
【著作権ブログ】
著作権 侵害・違反を考える
【各契約書ページ】
著作権関連
- 専属マネジメント契約書
- 広告出演契約書
- イラストの著作権譲渡
- 出版(電子出版含む)契約書
- 業務委託契約書
- 翻訳出版
- 原盤制作譲渡
- デザイン使用契約
- 肖像権利用許諾書
- 原盤・楽曲使用許諾契約書
- 原作使用契約
- 芸能業務提携契約書
- LINEスタンプ制作業務委託契約書
- ゲーム音楽(BGM)制作契約
- 作詞・作曲・編曲依頼契約書
- 映画出演契約書
- イラスト制作依頼契約書
- 声優出演契約書
- VTuber・YouTuber所属契約書
- ライバー・インスタグラマー所属契約
- キャラクターライセンス契約書
- イベント出演契約書
- 舞台出演契約書
- PR案件等のプロモーション契約書
IT関連
- レベニューシェア契約書
- プログラム使用許諾
- サイト運営代行
- SEOコンサルティングサービス契約
- Webサービス利用規約
- ソフトウェア保守契約書
- スマホアプリ(iPhone・Android)開発
- 秘密保持契約(NDA)
- ウェブサイト制作
- システム共同開発契約書
- ASP(Saas)サービス利用契約書
- ASPサービス販売代理
- パッケージソフトウェア売買契約書
- 顧客紹介契約書
- クライアントサーバシステム提供
- OEM契約書
- システムエンジニアリングサービス契約書
- スマートフォンアプリ利用規約
- ウェブサイト・ドメイン譲渡
- クラウドサービス利用規約
- サーバの運用・保守契約書
- ソフトウェア販売代理契約書
- ソースコード使用許諾(開示)
- NFT制作依頼
- NFT利用規約
- SNS(インスタ等)運用代行契約書
商標登録はこちら
【メディア掲載実績】
・日本経済新聞 電子版
2011年5月30日、2011年5月31日
「開発費不要をうたうIT企業の思惑」「新事業モデル支える二つの契約形態」取材協力等
・日経コンピュータ2011年4月28日号
レベニューシェア契約に関する取材協力等
・2024年9月27日 All About『無料・フリー画像の落とし穴!?自治体や学校でイラストの無断使用による損害賠償が増えている理由』執筆
他、週刊ポスト、FRIDAY、クローズアップ現代(NHK)等様々な媒体で契約書や知的財産権に関して取材協力をさせて頂いております(詳細はこちら)。