翻訳出版契約
小説や漫画等で既に出版されている書籍等を、日本語から外国語またはその逆等に翻訳して出版する際に交わされる契約が、「翻訳出版契約書」です。
【契約当事者】
・翻訳元の書籍の出版社と翻訳出版を行う出版社との契約
(翻訳元の書籍の著作者と翻訳出版を行う出版社との契約になる場合もあります。)
翻訳出版契約書を作成するポイントは以下のとおりです。
【翻訳出版の対象書籍】
- 翻訳される対象書籍及び著作者を明記する。
- 翻訳される対象書籍の表紙・カバー・帯等のデザインを新たに翻訳出版する際に使用するかどうかを明記する(翻訳出版に伴い新たに表紙・カバーをデザインするかどうか等)。
【翻訳出版範囲】
- どの言語に翻訳するのか。また、翻訳物を出版する地域を契約書において必ず明確にする。その他、一般書籍として販売することのみならず、電子的利用(電子出版)も可能なのかどうか等も必ず明記する。
【印税】
- 翻訳出版による印税額(1部発行毎に~%等)及びその支払時期を明記する。また、翻訳出版物の発行部数明細等を発行することを契約書において義務付けることが望ましい(明細の言語まで特定されていると尚良し)。
【代理店】
- 現地代理店(翻訳物を出版する地域における代理店)が存在する場合は、当該代理店名及び代理店手数料等を契約書に明記する。
【著作権等】
- 翻訳出版にあたり新たに発生した翻訳物に関する著作権等の権利の帰属を明確にする。また、契約終了後は、翻訳出版社は翻訳物を使用することができなくなること等も併せて明記するべき。
【重要なポイントのまとめ】
1.最重要なのは、翻訳言語と翻訳出版地域ですね。翻訳言語は、何語に翻訳するのかというところです。翻訳出版地域は、表現上の注意点も多いです。中国での翻訳出版という場合に、台湾や香港はどうするのかといった点もそうですし、アジアでの翻訳出版という場合も具体的な領域をきちんと明確にすることが望ましいです。
2.翻訳出版に伴い、現地の表現上好ましくない表現の改変といったものは必要ですので、それが可能なように契約書に明記することが望ましいです。
3.また、翻訳出版が独占的な権利なのかも明確にすべきです。ある地域における独占的な翻訳出版とするのでしたら、そのように契約書に明記すべきです。
4.あとは、当然ながら翻訳出版に伴い原著作物の作家に支払う報酬・印税等をきちんと明記すべきです。
上記が、翻訳出版契約書の作成に関するポイントの一部例となります。尚、翻訳物を出版する地域が特定されている場合、それが独占的なものであるのかどうかも明確にするべきと考える。
【翻訳出版契約書の当事務所対応実績例の一部】
- 介護研修テキストのビルマ語(ミャンマー公用語)への翻訳及び翻訳版の出版
- 日本の漫画の中国語への翻訳及び翻訳版の出版
- 日本の大学教授の執筆した書籍の中国語への翻訳及び翻訳版の出版
- 日本語のコンピュータ関連書籍の英語版及び中国語版の出版
- イギリスの学術書籍の日本語への翻訳及び日本への翻訳出版
- 日本のお茶に関する書籍を中国語への翻訳及び中国への翻訳出版
- ウズベキスタン語に翻訳しての翻訳出版
・・・etc
株式会社○○(以下、「甲」といいます。)と、○○○○(以下、「乙」といいます。)とは、甲が著作者より使用許諾権利を委任されている第1条記載の著作物(以下、「本著作物」といいます。)を、乙が第2条の条件で翻訳して出版等することに関して、次のとおり契約(以下、「本契約」といいます。)を締結します。 第1条(本著作物) 本契約に基づき乙が翻訳し、出版することを甲が許諾する本著作物とは次のとおりとします。 ①著作者:梅安 ②題号: 日本一わかりやすい契約書の作り方 ③出版社:甲 ④許諾対象外:本著作物の表紙・カバー・帯等の画像及びデザイン 第三者によるまえがき・あとがき・解説 第2条(許諾条件) 本契約に基づき甲が乙に対し許諾する本著作物の翻訳出版に関する事項は、次のとおりとします。 ①翻訳言語:中国語への翻訳 ②許諾地域:中華人民共和国 ③許諾形態:一般販売用書籍 第3条(目的) 本契約は、甲が乙に対し本著作物の翻訳出版を許諾するにあたり、甲乙遵守すべき事項を定めることを目的とします。 第4条(翻訳出版) 1)甲は乙に対し、第2条(許諾条件)に定める許諾地域内において、本著作物を翻訳言語に翻訳し、当該翻訳物を許諾形態で出版物として刊行、頒布するための許諾を独占的に付与します。 2)甲は、第2条(許諾条件)に定める許諾地域内において、本契約に基づかない第三者による本著作物の翻訳物が存在していたとしても、それが甲の許諾によるものであった場合を除き、これを排除する義務を負うものではないものとします。 3)本著作物の翻訳及び複製並びに出版は、全て乙の費用負担によって正確になされるものとします。尚、乙は、甲の書面による事前承諾がない限り、本著作物を翻訳するにあたり、本著作物の内容等に変更・追加・削除を行うことはできないものとします。 4) 以下、続く・・・・ |
【収入印紙】
翻訳出版契約書などの、無体財産権(著作物等)を使用させることの契約は印紙税法の課税文書とならないため、契約書に印紙を貼付する必要はございません。
【翻訳出版契約書の作成代行】
料金 | 納期目安 | 成果物 | |
契約書の作成 | 50,000円(税別) | 3営業日 | 契約書データ |
※納品させて頂く契約書データはお客様が編集可能なWordファイルとなります
【翻訳出版契約書のチェック・修正】
料金 | 納期目安 | 成果物 | |
契約書等チェック 修正対応 |
1ページにつきおよそ5,000円(税別) | 2営業日程度 |
リーガルチェック対応後の契約書データ |
※納品させて頂く契約書データはお客様が編集可能なWordファイルとなります
【翻訳出版契約書の雛形提供】
料金 | 納期目安 | |
契約書等雛型提供 | 8,000円(税別). | 翌営業日 |
※雛形提供をご希望の方は、お問い合わせフォームを通じて、お問い合わせ内容にご希望の契約書雛形名をご記載の上で当事務所までご連絡願います。
※カスタマイズをご要望される場合は、作業分量に応じて別途費用が掛かります。
※お客様より特にご指定がない場合はWordファイルで提供致します。
(PDF、テキスト、書面等による提供はご要望に応じて対応致します)
<補足>
翻訳出版契約の事案や難易度により料金が増減したり納期にお時間を頂く場合がございます。そのため、ご依頼頂く前に、お客様からヒヤリング等を行った上で御見積書をご提示致します。
翻訳出版契約書ご依頼の流れ(遷移先ページ下部)
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藤枝知財法務事務所
代表:藤枝秀幸(弁理士・行政書士)
2009年に当事務所を設立し、著作権等の知的財産権の専門家として、主にIT系、エンタメ・芸能・コンテンツ系のクライアント様やクリエイター様等から多数の契約書作成・リーガルチェック業務のご依頼を頂いております。
また、補助金を活用した特許・商標・意匠登録対応も得意としており、契約×知財×補助金の広い視点でお客様をサポートさせて頂いております(2024年時点で事務所設立15年)。
【全国対応】
・契約書業務(契約書の作成代行、チェック修正、雛形提供)
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【メディア掲載実績】
・日本経済新聞 電子版
2011年5月30日、2011年5月31日
「開発費不要をうたうIT企業の思惑」「新事業モデル支える二つの契約形態」取材協力等
・日経コンピュータ2011年4月28日号
レベニューシェア契約に関する取材協力等
・2024年9月27日 All About『無料・フリー画像の落とし穴!?自治体や学校でイラストの無断使用による損害賠償が増えている理由』執筆
他、週刊ポスト、FRIDAY、クローズアップ現代(NHK)等様々な媒体で契約書や知的財産権に関して取材協力をさせて頂いております(詳細はこちら)。