【裁判】ヨン様の写真を無断で雑誌に掲載するのは違法かの考察
韓国の人気俳優ペ・ヨンジュンさんの写真を多数掲載した雑誌を出版、販売することがペ・ヨンジュンさんのパブリシティ権を侵害するかどうかについて争われた事件。
この事件において、私は以下の点に着目します。。
・タレント等の著名人のパブリシティ権侵害になる場合の基準。
・パブリシティ権の侵害による損害を算定するにあたって、著作権法114条2項及び3項を類推適用することはできない。
・タレント等の著名人のパブリシティ権侵害になる場合の基準。
「紹介記事等を掲載した雑誌等の販売に当たって当該芸能人等の顧客吸引力が反映される場合があるとしても、著名人はこれを容認せざるを得ない場合がある。」
上記のように示され、新聞、雑誌、テレビ等のマスメディアによって批判、論評、紹介等されることや、その際に写真が掲載されることについて著名人は容認せざるを得ない場合があるとしております。
その上で「著名人の氏名、肖像を使用する行為が当該著名人のパブリシティ権を侵害する不法行為を構成するか否かは、その使用行為が当該著名人の顧客吸引力に着目し、専らその利用を目的とするものであるといえるか否かによって判断するのが相当である」と今回の判決で示しております。
今回被告が出版、販売している雑誌「ぺ・ヨンジュン来日特報It's KOREAL 7月号増刊」のように、原告ペ・ヨンジュンさんの氏名、写真、関連記事が雑誌の内容の大半を占めており、そのほとんどのページにペ・ヨンジュンさんの写真が使用されているような場合は、ペ・ヨンジュンさんの顧客吸引力に着目し、専らその利用を目的とするものと認められ、パブリシティ権の侵害にあたる可能性が高くなります(本件はパブリシティ権侵害と認定)。
但し、以下のようなページではパブリシティ権の侵害にあたらないとも判断されたことも見逃せない事実です。
・ペ・ヨンジュンさんの写真よりも記事部分の方が多くを占めているページ。
・ペ・ヨンジュンさんの姿がごく小さくしか写っておらず、その肖像を独立して鑑賞の対象とすることができるものとはいえない写真を掲載したページ。
よって、著名人の写真を使用することが、全てパブリシティ権の侵害に該当するわけではございませんので、その点については注意が必要です。
・パブリシティ権の侵害による損害を算定するにあたって、著作権法114条2項及び3項を類推適用することはできない。
「パブリシティ権とは、人格権に由来するものであって、著作財産権とは性質を異にするものである。」ということを理由に、パブリシティ権の侵害による損害算定について、著作権法114条2項及び3項(侵害者がその侵害の行為により得た利益を損害額とする)を類推適用できないと判断。
裁判所は、本件のペ・ヨンジュンさんのパブリシティ権侵害による損害賠償額を「雑誌の単価(税込580円)、販売部数(41275冊)、原告が原告の名称及び肖像写真等を使用したカレンダーを日本において生産、販売等することを許諾した際の許諾料(10%程度か?)のほか、原告の氏名、肖像の有する顧客吸引力の強さ、本件雑誌における原告の氏名、肖像の使用態様、本件雑誌中でパブリシティ権を侵害する部分の割合等を総合的に考慮した結果」400万円と算定。
上記の裁判所判断を見る限り、本件のようなパブリシティ権侵害の損害賠償額の算定においては、「販売価格×販売部数×一般的な許諾料(10~15%程度)」というような算出になるのが一般的になるかと考えられます。
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2011年5月30日、2011年5月31日
「開発費不要をうたうIT企業の思惑」「新事業モデル支える二つの契約形態」取材協力等
・日経コンピュータ2011年4月28日号
レベニューシェア契約に関する取材協力等
・2024年9月27日 All About『無料・フリー画像の落とし穴!?自治体や学校でイラストの無断使用による損害賠償が増えている理由』執筆
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